自室のベッドの上にて

まだ折り畳み式のケータイを数回パチパチと開き、
意を決したように誰かに電話をかけ始めた。

・・・・あ、もしもし、ママ？
え、気持ち悪い？いやいや、ママって呼べっつったんそっちだんべ！？
あーはいはい俺が悪ぅございましたぁ。


え、なんでって・・・いや、ちょっと話しときたいことあってさ。
いや、たいしたことじゃないし深刻な話でもないんだけどさぁ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・彼氏できた。
はぁ！？違うっつーの！！なんで倖兄に彼氏出来なきゃなんねぇんだよ！
あたしにだよ、あ・た・し・に！諌早にだよ！
そう、あたしに！
男の！決まってんべ！？
言っとくけど超カッコイイんだかんね！？


・・・・・・・・あああぁぁぁぁああああやめてぇえぇお父さんは呼ばないでぇぇぇえ！！
お願いだからお父さんには黙っててっ！！
絶対ややこしくなるからさぁ！
ちょっ、待って、まっ、やめっ、ストォオオォォオオップ！！


はぁ・・・はぁ・・・じょ、冗談よ、って・・・あぁもう！心臓止まるかと思ったぁ！
変な汗かいたわ・・・。
・・・え？どんな人って？
えーと、髪はオレンジ。あ、でも地毛かどうかわかんない。染めてるかも。
うーん、割と長め？
目は赤。あ、でもこれもカラコンかもわかんない。
背はー・・・あー、須藤さん家のお父さんぐらい？いや、微妙。
うん、でもいいって言ってくれた。気にしないってさ。・・・えへへ。
え？年？えーと、あたしの・・・４つ上？月兄たちと同じはず。
そうそう、銀誓館の先輩。うん、能力者だよ。
今は大学生だって。どこの？いや、知らん。
・・・いや、だってそんな細かいステータスとかわかんなくてもいいもん。春夜は春夜だし。
あ、そうそう、東雲・春夜さんっていうの。
マジホント、お母さんも惚れるかんね？いや、でも惚れちゃダメだかんね、あたしのだから。
はっはっは、何とでも言えばいいさ。


・・・・・んなっ！ちょ、バッカじゃねぇの！？
普通そういうことダイレクトに聞く！？
う、うるさいっ！カンケーないでしょぉ！？
知ってる！わかってる！ちゃんとする！・・・って、なに言わせんだよバカ！！


・・・・・・・・・・・。
大丈夫だよ、そんな人じゃない。
いくらなんでもちゃんとそういうのは見分けるっつーの。
・・・へーきだよへーき。
あはは、うん、呼ぶ呼ぶ。でも春夜強いよ？
え、あ、うん、ごめんなさいそれは持ってこないでくださいあたしの素行が疑われる。


うん、うん、わかった。
・・・・うん、なるよ、絶対。
って、あはは、これじゃぁまるで結婚するみたいじゃん。
いやあたしいつそういう単語を口にしたよ。


あ、充電ヤバイ、そろそろ切るね。
うん、また電話す、その報告は絶対しねぇかんな！？
あーもう切るよー。
おやすみー。


ツーツーツーツー・・・・




「・・・・何この人、超疲れんだけど・・・・」